風薫るさわやかな日、その女性に出会った。 私は、五月の風に吹かれて、まだ花開かないモッコウバラの棚の下 で、素焼きのハタキがけをしていた。 1人でひっそりと訪ねてくれたその女性と、もうすぐ花開くモッコウバ ラの棚の下の椅子にすわって、何故かたくさんのとても抽象的な話を した。その方の抽象的な言葉は、私の中に落ちてくる時、不思議に具 体性を帯び、同じように私のおよそ抽象的としか思えない話も、その方 は具体的に受け取ってくれているようだった。慣れない事がが続いて心 がねじれていた日々、言葉のひとつひとつが、私の深いところに沈み、 沈んでいったその場所で私は解かれ癒されていた。 その日はそんな人に会うことを強く願っていたから、私はその女性に 会えたのだ、と思った。 Mさん、 青山二郎のいう“ものに魂があるならばそれは外に出ずにはいない” を自戒としているという言葉を、そのまま私の自戒とするこの頃です。 魂のないものはつくるな、と。 6月、白いモッコウバラの棚の下は清々しい香が淡く漂っている。 |
5月23日 窯焚き あぶります やっと火を入れられました |
5月24〜25日 深夜の窯焚き |
5月30日 窯出し |
今年のキセキレイの巣は軒下。これまでで一番安心して見ていられる場所に落ち着いてくれました。
|
TOPへ戻る |
昔の野の窯だよりへ |