書式

野の窯だより　12月

クリスマスツリーにしたいようなツルウメモドキ

　益子に用足しに出掛けると、よく立ち寄る所が西明寺さん。全力を尽くしても猶不安なとき、西明寺さんに参拝すると心が落ち着く。落ち着かせてもらって物事を無事なし終えた時はお礼に詣でる。いつも静かな境内には椎の大樹が繁り、晩秋には懐かしい椎の実が落ちている。椎の実を掌に載せると、心がぽっと明るく満たされた気持ちになる。子供の頃、椎の実を拾いによく山に入った。友人と。母親と。いとこ達と。何度も何度も山にゆき、沢山沢山拾った。天日に干して保存し、冬の夜など、火鉢の火でいって食べたりした。益子で暮らしていた時、西明寺さんの石段で初めて椎の実を拾って、暖かい色々を思い出させてもらって以来、西明寺さんは私にいつも優しいお寺、と思いこんでいる。
　今年もヒヨドリが鳴く西明寺さんでひっそり椎の実を拾って噛んでみた。