野の窯だより 4月



侘助?  サザンカ?  …?


 蹴ロクロ、登り窯の薫陶を受けたつうやんこと成井恒雄氏の工房の庭には初冬、侘助や赤いサザンカが咲いた。
 私はその可愛らしいピンクの侘助が好きで、よく一輪を折りとらせてもらっていた。
 17年前、この地に登り窯を築くため益子を離れる時、つうやんから一碗の抹茶碗と、それから椿らしき庭の実生の苗木を餞別だ、と渡された。
 「何が咲くかわかんねえが…」とは、私が気に入りの侘助が咲くか隣のサザンカが咲くか、何しろその辺にこぼれた実から生えたものなので、わからないという意味だった。
 10年以上たってその苗木は屋根に達する大木になったが、花は咲かず、やはり寒冷地に椿の類いは無理かとあきらめかけていた頃、突然その木は赤い花をひとつつけた。赤い、形は侘助を小さくしたような、ピンク色の侘助を夢見ていた私にはちょっと淋しい花だった。
 今年、思いがけなく、何と沢山の沢山の花をつけた。
 ちょっと悲しい姿の侘助をあちこちの一輪挿しに生けて我身の至らなさを思いつつ、つうやんを思い出す春です。





展示室を少し模様替え

 


 …羽生市の食事処梵天さんの店内リニューアルに伴い、野の窯に店主さん渾身のDIYテーブルがおさがり。




スミレの色々


アカネスミレ

ヒナスミレ

タチツボスミレ



キクザキイチゲ



水仙

東吾妻町の花です




日向ミズキ

糠白釉壺に



エドヒガン満開!





 目の治療に1ケ月。そんなこんなで春の窯を見送ることにしましたが、明るい視野がうれしい四月です。




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